「降伏」より「玉砕」を選びかねないイラン

 実際、6月18日にイランの最高指導者アリー・ハメネイ師は、国民に向けてこう発表した。

6月18日、国民に向けテレビメッセージを送るイランの最高指導者ハメネイ師(写真:ロイター/アフロ)

「イランの国民に向かって降伏を命じるというのは、まったく賢明な策ではない。そもそもイランの国民とイランの歴史を知るならば、そのようなことを決して口にするはずもない。

 わが国は他国を侵略することはないが、他国から侵略されることは容認しない。かつ侵略されても降伏することはない。

 もしもアメリカが今回の問題で軍事介入するならば、取り返しのつかないことになるだろう」

 トランプの最も愚かな点は、「外交」を「商談」とはき違えていることだ。「商談」は利害得失で動くが、「外交」は国家の名誉と威信をかけて行う。

 日本人に分かりやすい例で言えば、いまのイランは、1941年(昭和16年)の日本のようなものだ。だから、アメリカに対して絶対に降伏などしない。それならば「9000万人玉砕」を目指すだろう。

 トランプは、「TACO」とバカにされてもよいから、どうか退いてほしい。

 ロシアがウクライナを攻撃し、アメリカがイランを攻撃したなら、東アジアでは中国が台湾を攻撃するかもしれない。イランが「盟友」北朝鮮から核兵器を調達してイスラエルに撃ち込むかもしれない。そして、第3次世界大戦に突入である――。