
6月3日の韓国大統領選挙を経て李在明(イ・ジェミョン)政権が発足することで、朝鮮半島情勢はどう変わっていくのか?
韓国で北朝鮮問題の第一人者であり、韓国で最も権威ある世宗(セジョン)研究所副所長代行を務める鄭成長(チョン・ソンジャン)博士に、ソウルのオフィスで2時間にわたって話を聞いた。鄭博士は、韓国の核兵器保有を推進する団体「韓国核安保戦略フォーラム」の代表としても知られ、日本で昨年、『日韓同時核武装の衝撃』(ビジネス社)を出版し、話題を呼んだ。
以下は、鄭博士との一問一答である。
韓米同盟一辺倒にはならない
――4月に罷免(ひめん)された尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領は、アメリカ・日本との強固な安保協力体制を基盤として、北朝鮮の脅威に立ち向かうという姿勢が鮮明だった。これに対して、李在明新大統領が誕生したら、どのような韓国外交を展開していくことになるのか?
「李在明氏の考えは、韓米同盟が重要なことは認めるが、そうかといって一辺倒になってはならないというものだ。そのため、尹政権の時に冷え込んでいた中国との関係を改善させていくだろう。

中国に関して、李氏が大統領選の最中に物議を醸(かも)す発言もした。それは、近未来にたとえ台湾有事(中国と台湾との武力衝突)が起こっても、それは韓国とは無関係だというものだ。あの言葉はホンネだと思う」
――中国は9月3日に、抗日戦争勝利80周年の軍事パレードを行う予定で、李在明新大統領を招待したい意向だ。10年前の70周年の時は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が参加した。李新大統領は参加するだろうか?
「おそらく参加しないだろう。韓国国内では反中感情が強いし、どのみち10月末~11月月初にかけて慶州(キョンジュ)APEC(アジア太平洋経済協力会議)を主催するので、その時に習近平主席が訪韓するからだ」