6月14日、ワシントンD.C.で行われた米陸軍250周年記念パレードに出席したトランプ大統領。後ろはヘグセス国防長官(写真:ロイター/アフロ)

イランとイスラエルの戦闘、元凶はトランプ

 アメリカの大統領ドナルド・トランプの「TACO」ぶりが際立っている。

「TACO」は「Trump Always Chickens Out」(トランプは常にビビッて退く)の略語で、いま急速に世界で広まっている。もしかしたら、2025年の世界の流行語大賞を取るかもしれない(そんなイベントはないが)。

 もともとは、英『フィナンシャル・タイムズ』(5月2日付)で、コラムニストのロバート・アームストロング氏が、「Taco trade theory and the US market’s surprise comeback」(TACO貿易理論とアメリカ市場の驚きの復活)というコラムで使用したものだ。「もはやトランプが何を吹こうが、どうせ取り下げるだろうと、市場がそれを見越して動くようになった」。アームストロング氏は、関税などいくつかの例をグラフで示しながら述べた。

 その後、外交分野にも「TACO」理論は当てはまるではないかと、欧米メディアが指摘し始めた。

 例えば、「オレなら1日で止めてみせる」と豪語していたウクライナ戦争は、トランプが大統領に就任してまもなく半年になるというのに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に舐められっぱなしだ。トランプは6月16日、ウクライナからカナダG7(主要先進国)サミットに駆けつけるウォロディミル・ゼレンスキー大統領を待つこともなく、無責任に帰国の途についてしまった。