ネタニヤフ首相とトランプ大統領の顔をプリントした横断幕を掲げ、イランに対する戦争に反対する市民(6月18日ニューヨークで、写真:ロイター/アフロ)

ステルス爆撃機B2、空母3隻がインド洋に

 ドナルド・トランプ米大統領の指示を受けた米軍は6月18日、イランに対する軍事作戦の準備を進めた。

 地下貫通弾(バンカーバスター)を積めるステルス爆撃機「B2」をインド洋に移したほか、「カール・ビンソン」「ニミッツ」「ジェラルド・フォード」の3隻の空母を付近の海域に急遽派遣し、核施設の爆撃や米軍基地への報復攻撃に備えつつある。

How the US has shifted military jets and ships in the Middle East - The Washington Post

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は6月18日、「トランプ氏は17日、イラン攻撃計画を承認したことを非公式に国家安全保障担当補佐官らに伝えていたが、イランが核開発計画を放棄するかどうかを見極めるため、最終命令は発出しなかった」と報じた。

 トランプ氏は6月19日、イスラエルと交戦するイランへの攻撃の可否について「2週間以内に決断する」と説明した。

 軍事介入まで2週間の期限を設けて、外交でイランに核開発放棄を迫ったと見られる。

Israel-Iran Live Updates: Trump Privately Approved of Attack Plans for Iran but Has Withheld Final Order

 こうした中、米国の軍事介入の可能性について最新のワシントン・ポスト世論調査では、米国民の82%が懸念しており、イランに対する空爆には45%が反対(賛成25%、分からない30%)している。

 米国を厭戦ムードが覆っている。イランの核武装化も同盟国イスラエル防衛も「米国第一主義」の前には二の次、三の次なのである。

More Americans oppose than support a U.S. airstrike in Iran, poll finds - Washington Post

 一方、米議会では民主党のティム・ケイン上院議員(バージニア州選出、元民主党大統領候補)が6月18日、戦争権限法を再確認する決議案*1を上程した。

Democrat moves to prevent Trump from striking Iran without congressional approval

*1=戦争権限法(War Powers Resolution)は、大統領が議会の承認なしに軍事行動を起こすことができる期間と条件を制限する法律。大統領は①軍隊を派遣する前に、議会に対してその理由と状況を説明する努力をしなければならない、②軍隊を派遣した場合、48時間以内に議会に報告しなければならない、③議会の承認なしに、60日間以上軍隊を派遣することはできない――と規定している。