食糧を求めて略奪も発生
イスラエル政府のメンサー報道官は12日、英スカイニュースに対し、IPCの飢餓に関する報告が誤りだと反論した。その上、同局のキャスターから完全封鎖を70日以上も続けても人質の解放に至っておらず、次の段階は更なる攻撃なのかと問われるとそれには答えず「人道支援(物資)はハマスに渡っており、人道的ではない。ハマスの虐殺的なテロリストは、市民のための物資を盗んでいる」と論点をずらしている。
現地からの映像や画像には、支援団体がかろうじて行なっている炊き出しに鍋やボウル、バケツなどあらゆる容器を手に、必死の形相で殺到する人たちの様子が映し出されている。メンサー報道官が「テロリスト」と呼んでいるのがこうした人たちを指すのなら、その言葉に信憑性は感じられない。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、物資輸送のための数千台のトラックがすでに準備されているとしている。しかし封鎖により、トラックは十分な物資を運ぶことができない。UNRWAはガザ地区における人為的かつ政治的動機による飢餓は「絶対的な残酷さ」だとイスラエルを糾弾した。
イスラエルが引き起こしている飢餓は、軍による攻撃に加え新たな暴力行為も誘発した。4月30日から5月1日ごろにかけ、複数の報道機関が目撃者などの証言をもとに、武装した者などが国連や支援団体の倉庫やパン屋などから、食料などを根こそぎ略奪したと伝えている。
米国を拠点とする支援団体は、5月1日に同団体が保有するコミュニティ・キッチンや倉庫に10人ほどの武装集団が突入し、物資を略奪した様子を証言している。武装集団に加え、便乗した群衆も略奪に参加し、全てを奪われてしまったという。
CNNは、今月4日までにハマスがこうしたパレスチナ人の略奪者を処刑したと報じた。ハマスは、略奪者の一部にイスラエルと共謀していた者がいたと主張している。同局はこのことについて、弱体化したとはいえハマスがいまだにガザ地区で権力を維持していることの表れだと指摘した。
ガザの人たちはイスラエル軍の攻撃に加え、同じパレスチナ人の武装略奪者らに怯える日々を強いられている。