巨人軍の沢村栄治投手=1937年(写真:共同通信社)

初期には「打ちごろの球」を下から投げるのが当たり前だった“投手”

 アメリカで野球が始まって150年、競技そのものも大きく変化したが、最も大きく変わったのは「投手」だろう。

 プロ野球の投手が、今のように上投げで投げるようになったのは実は1884年のことだ。すでに1871年にはMLBの前身であるナショナル・アソシエーションが始まっていたが、それまで投手は下投げで、打者が要求する、打ちやすい球を投げていたのだ。

 上投げになり、球速が速くなったことから従来50フィート(15.24m)だった投手と捕手の間隔は、1893年には60フィート6インチ(18.44m)になった。

 この時期から投手は他の野手と分化していく。

 20世紀に入り、MLBがアメリカン・リーグ、ナショナル・リーグの「二大リーグ」になるころには、試合を投げ抜く「エース」が登場するようになる。

 MLB史上最多の511勝を挙げ「サイ・ヤング賞」に名を残すサイ・ヤングや、2位の473勝を挙げたウォルター・ジョンソンなどがその代表だ。

サイ・ヤング投手(写真:AP/アフロ)

 しかし20世紀のMLBは、140~162試合という多くの試合を消化するようになったので、各球団にはエースだけでなく複数の先発がローテーションで投げることが定着していった。