政党の公費依存が招くポピュリズムの台頭

 元来、政党は市民社会の私的結社として出発したが、1970年代以降、先進国の政党はその財政を国家助成に依存することによって、いわば国家機関の一つになってきている。

 政治学者のカッツとメアは、このような現代の政党の特徴を「カルテル政党」と名づけている。

 カルテルとは、「複数の企業が協定を結んで自由競争を制限すること」と定義されるが、近年の政党は生き残り戦略を共謀し、国家からの政党助成制度に依存してきたというのである。

 事実、2022年段階で、OECD38カ国のうち32カ国でなんらかの政党への公費助成が導入されている。

 浅井直哉『政党助成とカルテル政党』(勁草書房、2023年)は、この「カルテル政党」の理論を日本にあてはめたもので、1994年の政党交付金の導入以降、日本の政党が公費依存になっていく過程を説得的に論じている。

 すなわち、2024年現在、政党交付金の総額は315億円であり、その配分額は自民党に156億、立憲民主党に70億、日本維新の会に33億、公明党に28億、国民民主党に12億に配分されている。各党の全収入のうち公費助成が占める割合も、自民が7割、立憲や維新は8割、国民民主は9割を超えているのである。

2024年、2025年の政党交付金(図表:共同通信社)

 カッツとメアによれば、政党の公費依存とカルテル化は、ヨーロッパにおいてポピュリズムの台頭を招いているという。既成政党は寄付や党員拡大といった地道な努力を回避し、国家からの助成制度に寄生してきた。

 その結果、政党が社会から乖離し、社会の多様な利害や価値観を代表する能力を低下させた。社会に取り残された民意は既成政党を迂回して新興のポピュリスト政党にその表出先を求めてきたのである。

 このように、政党の過度な公費依存が政党政治の流動化を招くことも一面の真理であろう。