
(スポーツライター:酒井 政人)
ダントツの強さを見せた中大
今年の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会でトップ通過を果たしたのが中大だ。昨年の全日本大学駅伝は12位に終わったが、今年の箱根駅伝で5位に入ったチーム。4年ぶりの選考会には、箱根駅伝3区で区間賞を獲得した本間颯(4年)、昨年の日本選手権3000m障害で2位に入った柴田大地(3年)、5000mで13分31秒62(高校歴代4位)を持つスーパールーキー濵口大和を外したメンバーで参戦。それでも“圧倒的な強さ”を見せつけた。
1組は佐藤大介(中大2)が積極的なレースを展開して、田原琥太郎(2年)が2着(29分01秒99)で佐藤が3着(29分03秒35)。総合でトップに立つと、2組では箱根駅伝1区を爆走したエースが激走した。
吉居駿恭(4年)はスティーブン・レマイヤン(駿河台大3)と抜け出すと、28分34秒81で走破。3着以下に46秒以上の大差をつけたのだ。1年生の三宅悠斗も5着(29分23秒84)に入った。
3組は藤田大智(3年)がレースを引っ張りながら、2着(28分39秒00)でフィニッシュ。10日ほど前のポイント練習を外して「不安があった」(藤原正和駅伝監督)という吉中祐太(4年)も18着(29分09秒48)でまとめた。
6人の留学生が出走した最終4組は「27分台チャレンジ」(藤原監督)と位置づけ、溜池一太(4年)と岡田開成(2年)がトップ集団に食らいついた。27分台には届かなかったが、溜池が日本人トップの4着(28分04秒39)、岡田も11着(28分30秒23)と好走した。
総合成績は3時間50分27秒09。一度も首位を譲ることなく、2位の大東大に1分以上の大差をつけた。フルメンバーでなくても中大はとにかく強かった。
「本間は10日ぐらい前のポイント練習が良くなかったので、ちょっと奮起を促す意味で外しました。柴田は3000m障害に絞ってやっていますし、濵口は6月にあるウィーンのレースをメインに作っているので起用する気はありませんでした。このメンバーでも他校を圧倒できるようじゃないと本戦で勝負はできません。プレッシャーがあるなかで、自分たちの力を出し切れるのか。そこはクリアできましたし、エースの駿恭と溜池が圧倒するような走りをしてくれましたので、全体的には及第点かなというところです」(藤原監督)
今季の中大は5000mで13分30秒前後の好タイムを連発しているが、藤原監督は「米国の学生は13分10秒台がいっぱいいる。小さな島国だけを見ていても仕方がないよ」と選手たちに話しているという。
「世界に出ていく選手を育成したいという思いでやっているので、10000mでいえば、今季は27分台を10人揃えたい。その次は27分30秒以内を10人というように、階段を登っていきたいと思っています」
そして今季のチームは箱根駅伝の「総合優勝」が最大のターゲットだ。
主将の吉居は、「箱根を目指しているなかで、全日本は難しい時期の大会になります。優勝とは言いませんが、どんな状態でもしっかりと表彰台を狙っていきたい。去年(7区14位)は不甲斐ない走りをして、それまでの取り組みを反省しました。トラックシーズンは5000mで自己ベストを更新して、駅伝は箱根の優勝と三大駅伝の区間賞が目標です。全日本は1~3区、箱根は1、3、4区のどこかを走りたいと思っています」と熱く語った。
日本選手権5000mの参加標準記録(13分38秒00)を学生チームでは最多となる8人が突破している中大。圧倒的なスピードで今季の学生駅伝を突っ走るつもりだ。