
3期連続で過去最高売上更新したトリドールホールディングス。2025年3月期決算は、売上収益2682億円(前年同期比15.6%増)、事業利益182億円(27.4%増)と、売上・事業利益ともに好調だ。同社の主力業態「丸亀製麺」のマーケティング戦略について、トリドールHD執行役員CMOで丸亀製麺取締役の南雲克明氏が語った。
「感動をデザインする」とはどういう意味か
丸亀製麺のマーケティング戦略をお伝えするうえで、まずは、我々が掲げる「感動(KANDO)をデザインする」について触れたいと思います。
この「感動をデザインする」とは何か。それは、2つの感動を武器にして構造優位をつくり、市場と顧客を創造し続けることと捉えています。
2つの感動とは、1つは「自ら仕掛けにいく感動」で、もう1つは「人と人とのつながりから生まれる感動」です。我々はこの2つを駆使して顧客の創造、市場の創造をしています。
丸亀製麺の理念と戦略には、「食の感動で、この星を満たせ。」といったスローガンをはじめとして、ミッション、ビジョン、ストラテジー、マーケティングの全てに「感動」という言葉が入っています。感動というパーパスで串刺ししたこの戦略を、一貫して展開しています。
我々がこのように「感動」という言葉を大事にしているのは「感動こそが、顧客創造する源泉価値」だと考えるからです。
効率化で市場やお客さまを創造することはできません。感動を磨き、あるいは創造していく、感動を全てにおいて最優先する、そうした基本的な考えを持っています。
「感動をデザインする」ということは、市場の構造や消費者の脳と心を深く理解し、そうして深めた理解を基に消費者の本能を刺激し、できるだけ強い衝動や興奮を生みだすことを指します。これが、お客さまの行動変容につながると考えています。