
トヨタグループの1社として、ソフトウエアを基盤としたモビリティの技術・事業開発を進めるウーブン・バイ・トヨタ。AIプラットフォームを通じてAI開発を加速化・効率化・安全化する部門、エンタープライズAIのディレクター谷内出悠介氏が語るAI開発、活用の最前線とは――。
先進研究を量産へつなぐ4つの重点領域
「100年に1度の大変革期」といわれる時代にあって、「モビリティカンパニー」への変革を目指すトヨタグループ。2023年に、トヨタは「トヨタモビリティコンセプト」を打ち出し、「クルマの価値の拡張」「モビリティの拡張」「社会システム化」というモビリティ社会への道筋を示した。
一方、ウーブン・バイ・トヨタは、2018年、米国シリコンバレーのTRI(Toyota Research Institute)による先進研究をトヨタ自動車での量産につなぐ企業、TRI-AD(Toyota Research Institute Advanced Development)として発足。現在は日本橋の本社をはじめ米国の4拠点、ロンドンに展開し、トヨタグループにおける先行開発領域の連携強化、開発の加速を担っている。
「ウーブン・バイ・トヨタのウーブン(Woven)は『織り込まれた』という意味で、トヨタのルーツである豊田自動織機に由来しています。起点には、トヨタグループの創業者・豊田佐吉の『機織りをする母を少しでも楽にさせたい』という思いから織機を発明した背景があり、『自分以外の誰かのために』という創業以来の理念が込められています」と語るのは、Enterprise AI(エンタープライズAI)のディレクターを務める谷内出悠介氏だ。「エンタープライズAI」は、ウーブン・バイ・トヨタのAIインフラ、ツールを管理する基盤開発を行っている。