
デジタルマーケティングを手掛ける電通デジタルは、AI活用による広告・マーケティング支援に力を入れている。2025年3月には、その基幹サービス「∞AI(ムゲンエーアイ)」の大幅なアップデートを実施。大手コンサルやメガベンチャー、さらにグローバルではビッグテックなどとの競争が激しさを増すデジタル広告市場において、電通デジタルはAIを軸にデジタル広告戦略をどう推進しようとしているのか。同社CAIO(Chief AI Officer:最高AI責任者)の山本覚氏に話を聞いた。
AIエージェント機能で大幅に進化した「∞AI」
――電通デジタルは、広告クリエイティブ制作プロセスをAIを活用して支援するサービス「∞AI」を、2022年にリリースしました。2025年3月のアップデートで大幅に進化したそうですが、どう変わったのでしょうか。
山本覚氏(以下敬称略) これまで「∞AI」では、「∞AI Ads」「∞AI Chat」「∞AI Contents」の3つのソリューションと、これらを統合する基盤として「∞AI Marketing Hub」を提供してきました。
例えば「∞AI Ads」では、訴求軸の発見からクリエイティブの生成、効果予測、改善まで、一連の広告クリエイティブプロセスの自動化と精度向上を支援しています。
今回のアップデートでは、この「∞AI」全てのソリューションに、必要なタスクを自律的に判断・実行するAIエージェントを搭載したのが最大のポイントです。当社の担当者は、AIエージェントとの対話によって高度な分析や施策の提案、改善を実行できるようになりました。