提供:オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)

 オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)は2017年7月、川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社の定期コンテナ船事業を統合し設立された。事業開始から2年目で黒字化を実現、その後2兆円規模の利益を叩き出し注目されている。統合が成功した背景には、「社風も理念もこれまでとは全く違う新会社を作る」というこだわりがあった。(後編/全2回)

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2024年11月27日)※内容は掲載当時のもの

世界で存在感を発揮するマゼンダカラー

 シンガポール港のパシールパンジャンターミナル。マゼンダ(ピンク)色のコンテナが広大な敷地内の見渡す限りに大量に積まれており、大型のガントリークレーンがそれらをコンテナ船に揚げ積みしている──。

 ここは、オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)が運営する同社専用のターミナルだ。マゼンダ色は同社のシンボルカラーでもある。コンテナだけでなく同社の船もマゼンダカラーで、港内に停泊していてもひときわ目立つ。

 ONEは2017年7月、川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社の定期コンテナ船事業を統合し設立された。ONEの持ち株会社は日本にあるが、事業部門の本社はシンガポールにある。シンガポール港のコンテナ取扱量は中国の上海に次いで世界2位である。このため、多くの海運企業が進出しているが、シンガポールに本社を置くのはONEをはじめ数社に限られる。

 ONEは世界120カ国にサービスネットワークを持ち、世界最大級の2万4000TEU(20フィートコンテナ換算で2万4000個)型のコンテナ船を含む240隻以上の船隊を運航する世界6位のコンテナ船事業会社だ。

 シンガポールにはかつて、同国政府系ファンドのテマセク・ホールディングスを筆頭株主とする同業、ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)があったが、2015年にコンテナ海運世界3位の仏CMA CGMに買収された。

 ONE グローバル・チーフ・オフィサーの岩井泰樹氏は、「シンガポールに本社を置くコンテナ海運会社の中では、ONEが最大手であり、シンガポールでも名前がよく知られています」と言う。